唐突ですが皆さん、戦争映画と聞いてどう思いますか――
グロい、怖い、悲しい、つまらない、よくわからないという感じでミリタリー系や歴史に興味がなければ映画館・レンタルショップに行ってもまずスルーするでしょう。
自分もスイーツ系(死語)の恋愛映画とか無条件でスルーしますもん。アニメを除いて。頭パッパラパーな恋愛映画なんて見て何が楽しいんだ(暴論)。
まあ、他の人から見れば戦争映画もこんな感じに言われるのでしょう。
ですが、
今回はミリタリー好きの人間として、あえて自分のおすすめ戦争映画・ドラマを紹介していこうと思います。丁度8月という季節だし。
なお、同好の人間からすれば今更感満載だと思います。
戦争映画――グロい悲しいよく分からない、という印象を持っているかもしれません(繰り返すようですが)。
また、よく平和教育として学生時代に見させられたこともあるでしょう。
そういった経験から、「ただ悲惨で、退屈なもの」と見られがちだと思います。
ですが、
もし少しでも興味があって、「何から手をつければいいか分からない」という人の為に、戦争映画を楽しむ?(というと語弊がありますが)ポイントをお教えいたしましょう。
戦争映画は人生の縮図です。
【戦争映画のここを見ろ】
①.歴史的背景
まあ、あまり興味ない人間にとってはスルーしますよね。
でも、もし少しでも興味があって「見てみようかな」と思ったら、ここをチェックすることをお勧めします。
だいたいの戦争映画は史実に沿ったものが多いです。史実ということは、実際にあった戦いをモデルにしているというわけですから、
・主人公はどちらの陣営なのか
・主人公の陣営はどんな局面に立たされていたのか
・そして主人公たちは大々的にどこへ向かおうとしているのか
これに注意すれば、ただボーっと見るより数倍は入り込めます。
②.人間関係
軍隊は一つの社会です。従って、そこには厳しい上下関係が存在します。
いくらクソみたいな上司の命令だろうと、簡単に拒否するわけにはいきません。
はい、社畜やブラック部活動に入っているそこのあなた――そんなあなたに見て欲しい。
彼らがどのように感じ、そしてどのように行動するかを……。
また、そんな人間たちの中にはもちろん人間ドラマが存在します
登場人物の出で立ちに注目して、そしてそいつらの行動に集中していると人生の教訓を得られることもあるかもしれません。
例えばある作品では、箔をつけさせるため、それだけのために派遣されてきた「ボンボンで無能な上司」が戦場の最前線でその無能ぶりをいかんなく発揮します。
しかし部下たちは無能上司の命令に背くことはできません。命令に背けば軍法会議で最悪銃殺刑ですから。
そんな中で、部下たちはどう行動したのか――これって、なにも戦場だけでなく日常生活でもあると思うんですよね。
そんな人間模様を見ていると、「あ、俺はこういう先輩になりてえ」とか「こういう指揮がとれる上司になりたい」という教訓を得られる場面も多々あります。
つまり、戦争映画は人生そのものである(クラナド並感)。
③.「死亡フラグ」を見極めろ
それでも「サッパリだ」というあなたにはこれをお勧めします。
今では定着しましたが、「死亡フラグ」という言葉があります。
説明するのは難しいですが、例えば……、
「俺、この戦争が終わったら恋人にプロポーズするんだ」
とか言ったやつが次の瞬間に撃たれて死んでるアレです。
戦争映画にはこの「こいつ後々死ぬんじゃないか?」と匂わせるセリフや行動が散りばめられています。ですので、ホントにもう何が面白いのか分からないって人には、この死亡フラグを探すことをお勧めします(不謹慎)。
前置きが長くなりましたが、戦争映画を見るうえでより一層楽しめるポイントを挙げました。
作品によっては気合いが入るものや、人生の教訓を得られるようなものもあります。
戦争映画はただグロくて悲惨なものではありません。
そこには様々な感動ポイントがあるのです。
では、実際にオススメ作品を挙げてみましょう。
・プライベートライアン
はい出ました。戦争映画の鉄板中の鉄板です。
名優トムハンクス、それからボーンシリーズでおなじみのマットデイモン、ワイルドスピードシリーズでおなじみのヴィンディーゼルなどが出演してます。
舞台背景は第二次世界大戦。おおざっぱに説明しますと、ドイツは依然としてヨーロッパの国々その多くを占領し、そしてヨーロッパ東部でソ連(現ロシア)とも戦っていました(いわゆる東部戦線)。
アメリカ含む連合軍はこの状況を打破しようとドイツの占領地フランスの北、ノルマンディーの海岸から上陸し、ドイツを二正面に立たせようと画策します。俗に言う「ノルマンディー上陸作戦」ですね。
この作戦は多くの犠牲のもと成功し、ドイツは二正面に立たされ崩壊していくわけですが……。
トムハンクス演じるアメリカ陸軍所属・ミラー大尉の部隊はこのノルマンディー上陸作戦に参加し、「海岸が血の色で真っ赤に染まった」と言われたほどの激戦地、通称オマハビーチに上陸します。
そしてなんとか上陸に成功し地獄を生き抜いた彼らに、上層部からとある命令が下されました。
「戦場で行方不明のライアンくんを探し出して、説得して、アメリカに帰国させてね☆」
というなんとも頭がパーン☆な命令でした。
このライアン二等兵(マットデイモン)、なんでも兄弟(兄弟も兵士として出征していた)がいて、その兄弟全員が戦死しています。彼らを育てた両親からしたらたまったもんじゃないですね。
戦死者名簿などからその事実に気付いた上層部は、ライアンくんだけでも生きて帰せ――というのです。日本軍からは考えられないアメリカンな思想ですね。
かくして、ミラー大尉は「ライアン二等兵救出部隊」を結成し、彼らと共に戦場を奔走する――
本編開始から30分ほどは息をのむグロさです。
それはオマハビーチへ上陸する際の戦闘シーンで、この上陸シーンは戦争映画史にその名を残しました。まぁーグロい。腕は吹っ飛ぶわ脚は吹っ飛ぶわ脳しょうははじけ飛ぶわ……。散々です。このシーン・作品がFPSゲームや他の映画に与えた影響は計り知れません。
例えば爆発で吹っ飛び、ぼーっとした耳鳴りの中スローモーションになる……。そういうシーンも確かこの作品が元ネタだったかと。
そんな本作品ですが、グロさだけに目を奪われてはなりません。
この作品、
命の天秤、命の価値とは何か――それをつきつけている。
そんな作品です。言い換えれば「究極の選択」です。そういう命の選択が幾つか存在します。
↑の紹介を読めば察しがつくかと思いますが、「どこにいるかも知れない兵士一人の為に部下を率いて危険な戦場を行き来しなければならない」のです。当然、探しているうちに部隊の誰かが死ぬかもしれません。
劇中でも、「そいつは部下を危険に晒してまで助ける価値のある奴なのかな」というようなセリフがあります。
アニメ『Fate』の衛宮切嗣ちゃんなら迷わず切り捨ててる案件です。そういう無茶な命令です。
そして紆余曲折あってとある最前線の部隊で見つけ出されたライアン。ミラー大尉は兄弟の戦死、そして命令の旨を伝えます。
しかし彼は「すぐそこにドイツ軍がいるのに、仲間を見捨てて自分だけのうのうと持ち場を離れられない」という感じに反発します。彼の言い分ももっともです。分かる、分かるよぉー。
でも、ライアンを探していたミラー大尉とその部隊からしてみれば「お前一人の為にこっちは死にかけ・満身創痍になってるんだよなあ」とぶちギレるでしょう……。
説得に難航したミラー大尉の部隊。そこへドイツ軍の戦車部隊が攻めてきて……。
圧倒的な戦車部隊との戦いが始まり、そして最後、ミラー大尉がライアンに伝えた言葉とは――
この先は自身の目で確かめろ(攻略本並の言い訳)。
ちなみに、名言も多く生まれているこの作品(例えば『アパム、弾持ってこい』)。
自分が好きなのは
「顔を思い出そうとするのではなく、場面で思い出すんだ」
というようなセリフだったかと。
これはライアンが「今になって戦死した兄弟の顔が思い出せない」とミラー大尉に打ち明けた際に、大尉が返したセリフです。
これは「なるほどなぁ」と感心しました。確かに、故人でも昔の友人でも顔を思い出そうと躍起になれば、かえって思い出せません。ところが、そういった人たちとの思い出の場面から辿っていけば、ふとした瞬間に浮かんできます。
ちなみに、DVD版ではミラー大尉の日本語吹き替えは確か江原さんでしたが、地上波放送版では山寺さんなんですよね。吹き替えもいいですよ。
戦争映画に興味があったら、この作品は外せません。
監督は巨匠スピルバーグです(今更)。
ちなみに×2、「プライベート」は個人的な物事という意味のプライベートではなく、確かアメリカ軍の二等兵を表す言葉です。この作品の原題は「Saving private ryan」ですから、直訳すると「ライアン二等兵を救出しろ」、「ライアン二等兵救出(作戦)」ということになりますね。
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